中小企業が本当に顧問にすべき税理士とは
今の顧問税理士に満足できているか?
中小企業経営者の顧問税理士に対するアンケート調査では(TKC・2021年 中小企業経営者4,081社を対象としたインターネット調査より)
【非常に満足+やや満足】と答えた経営者が全体の70%、【どちらともいえない】が21%、【満足していない】が9%という調査結果があります。
これだけ見ると、中小企業経営者のほとんどが顧問税理士に満足していて、誰を顧問税理士にすべきかなど、考える必要がないように見受けられます。
一方で、倒産企業の経営者を対象とした調査では、税理士に対して【十分満足+ある程度満足】が53.8%、【全く不満+ある程度不満】が47.2%という結果でした。(bixid・2022年 倒産経営がある社長500名に聞いた倒産に関するギャップ調査より)
これらの調査からわかるのは、会社の業績が悪化すると税理士への満足度は下がること、そして税理士に対する評価基準が曖昧であることです。
実際に上記2調査では【やや満足】・【どちらともいえない】・【やや不満】といった、両極端以外の回答が全体の70%以上を占めていました。
税理士に対する評価のメカニズム
では、なぜ税理士に対する評価基準があいまいになるのか?
最も根本的な要因は、失礼ながら、『経営者側が自社の経営において必要な情報を正確に把握していない』ことだと思います。
自社の経営に必要な情報がわからない
→経営者は税理士に対して、経営に必要な資料の作成依頼はできず、依頼がないので税理士側も通常の経理代行や決算といった業務以上は動かない
→税理士が作成した決算書・申告書について、税理士は数字の説明だけで、その数字を経営にどう生かすか、具体的な方法まで教えてくれないので、その書類の作成だけでは税理士に対する評価ができない
→経営者は税理士を評価する具体的なものがないので、結果【値段の安さ】【レスポンスの速さ】【人柄】が主な評価軸になる
というのが税理士に対する評価のメカニズムだと思います。
したがって、業績が良いときは評価が高いですが、業績が悪くなると何も経営に対するアドバイスがないと不満に変わるのです。実際に、税理士に対する3大不満は【コスト】・【レスポンスや人柄】・【経営アドバイスがない】の3つです。(小谷野税理士法人「税理士変更に関する実態調査2026」より)
また、業績が良いときでさえ、明確に税理士の貢献を感じづらいので、"やや"満足にとどまる傾向が強いのではないでしょうか。
経営において必要な情報とは?
なんとなく今の税理士で良いかわからない、そういった税理士に対する曖昧な評価の根底は、経営者側が自社の経営において必要な情報を正確に把握していないことである、と前述しました。
では、経営において必要な情報は何なのか?
当然、会社の業種、売上規模や従業員規模によっても必要な情報は変わってきますが、ここでは、年商5億円以下の一般的な中小企業に絞ってお話します。
どんな業種でも、多少の規模の違いがあっても、上場企業と比べ資本力が十分でない中小企業においての一番重要なことは【事業を継続させること】です。これはM&Aで将来的に会社を売却したい経営者でも同じです。(現在の事業が継続せず、倒産してしまったら当然売却もできないため)
なので、冒頭の経営において必要な情報というのは、事業継続のために必要な情報と置き換えることができます。
事業継続のために最も重要なこととは?
では、事業継続ができなくなる、すなわち企業が倒産するのはなぜでしょうか?
多くの経営者は【業績不振】、いわゆる【売上の伸び悩み】が倒産の原因だと考えるようです。(帝国データバンク・全国企業倒産集計(2025年12月))
ですが、売上が経営を左右するという理解は正確ではありません。
なぜなら倒産企業の約42%は増収企業(前年より売上が上がっている企業)であるからです。また、もし売上が倒産の直接的な原因であるならば、なぜ創業当初など売上が今より低い時期も事業継続できていたのでしょうか?
倒産する直接の原因は【資金繰り】、すなわち【現預金】が回らなくなることです。
ですが、経営の根本である資金繰りを把握する資料(資金繰り表)を毎月作成している中小企業はどれくらいあるでしょうか?(資金繰り表の作成は通常の税理士との契約に含まれないことが一般的なので、税理士に追加報酬を払ってでも作成してもらうか、経営者自身が作成するしかない)
事業継続をするうえで重要な優先順位
では、事業継続において必要な現預金は何から生まれるのでしょうか?
大きくは、➀ 本業利益 ② 銀行など第三者からの借入 ③ 第三者からの出資です。(出資は一般的な中小企業にとって、多くはないので、今回は割愛します)
➀の本業利益は【売上】・【費用(原価損失も含む、以下同じ)】の2つで構成されています。また②の銀行融資は様々な視点から企業に融資の可否の判断がされますが、主に直前期の決算書ベースで判断されることが多いです。特に【本業利益】が黒字かどうかです。
すなわち、本業利益が黒字ならば、利益から資金繰りが増えるし、さらに銀行融資も受けやすくなるので、資金繰りはさらに潤うという流れです。
したがって、中小企業が事業継続において考えるべき優先順位は、
➀ 資金繰り
➁ 本業利益
➂ 売上・費用
の順番です。この優先順位を見誤ると、まさかの黒字倒産という最悪のケースにもなりかねません。
まとめ
今回のメインテーマ【中小企業が本当に顧問にすべき税理士】
を一言で定義するならば、【資金繰りに異常がないか毎月検証しつつ、会社の本業利益を上げてくれる税理士】というのが私の結論です。
なぜなら、本業利益を上げれば現預金が増え、事業継続においてのリスクはなくなるからです。
そのような税理士を見つけるもしくは今の税理士をそのような税理士に変えていくためには、まずは、中小企業経営者の皆さんが会社の本業利益をあげるために、具体的にどういった情報が必要か、を考え続けていただくしかありません。
それが決まりさえすれば、『その情報をあなたは提供してくれますか?』と顧問税理士に聞けばいいのです。
税理士から提供された情報で本業利益が上がれば、顧問税理士との関係性はより強固になり、顧問税理士側もその結果に手ごたえを持てれば、さらに会社の業績アップに貢献してくれるようになると思います。